動物の病院 くすめ

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フィラリア症 (犬糸状虫症)とは・・

      2024/10/01

フィラリア症 (犬糸状虫症)とは・・

フィラリア症とは、フィラリアが主に犬の心臓(特に右心室)と肺静脈に寄生し、呼吸器系、循環器系および泌尿器系に多様な障害をもたらします

キーワード1

フィラリアは、蚊によって媒介される寄生虫です。雌のフィラリアは交尾後、血液中にミクロフィラリアと呼ばれる幼虫を生みます。蚊が犬を刺すと、血液とともにミクロフィラリアが吸い取られ、蚊の体内で約2週間かけて2回脱皮し、感染力を持つ「第3期幼虫(感染幼虫)」に成長します。その後、蚊が再び犬を刺すと、幼虫が犬の体内に入り、約6ヶ月で成虫となります。成虫は約3~5年、ミクロフィラリアは1~2年の寿命を持ちます。

フィラリアに感染している犬の体内には
フィラリアの成虫と成虫が産んだミクロフィラリアがいます。

ミクロフィラリアは蚊が吸血した時に蚊の体内に入り、
2週間かけて感染力のある感染幼虫(第3期幼虫)に育ちます。

感染幼虫を持った蚊が別の犬を吸血する時に幼虫が皮膚へ侵入します。

犬の体内に入った幼虫は2~3ヶ月かけ皮下・筋肉内で成長し、2センチ程度の体長になります。

その後、血管に侵入して心臓や肺動脈に寄生し3~4ヶ月かけて成虫となりミクロフィラリアを産んでいきます。

※フィラリアの成虫

フィラリア症の症状は、成虫の数や寄生部位によって異なり、軽度の場合はほとんど症状が現れませんが、重度の場合は咳や運動を嫌がる、体重減少、赤い尿などの症状が見られます。

  • 喉に骨が引っかかったような「カッカッ」という咳
  • 運動を嫌がる、走りたがらない
  • 散歩中に立ち止まり、呼吸が荒くなる
  • 激しい運動や興奮後に失神する
  • 体が痩せ、お腹が張ってくる
  • コーヒー色や赤い尿をする、元気や食欲がなくなる

フィラリア症の治療方法は、病態に応じて内科的治療と外科的治療があります。

  • 内科的治療: 症状を和らげるために薬物療法が行われます。例えば、咳が出ている場合は咳を抑える薬が使われ、肝臓や腎臓に障害が出ている場合は、それに対する処置が行われます。また、フィラリア成虫を殺す薬も使用されることがありますが、成虫が死んだ後に血管内で詰まるリスクがあるため、慎重な管理が必要です。

  • 外科的治療: 重度のフィラリア症の場合、外科手術によって心臓や血管内から成虫を取り除くことが検討されます。この治療法は、寄生虫の数が多く、内科的治療だけでは改善が見込めない場合に選択されます。

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フィラリア症は予防のできる病気です

フィラリアは、一度感染すると体外に排出することができない、厄介な寄生虫です

しかし、現在では予防薬を1ヶ月に1回飲ますことで感染リスクを限りなくゼロに近づける有効手段です

予防

 「蚊に刺されない=フィラリアに感染しない」と、蚊取り線香をたいたり、散歩に行かないなど
の方法をとられる飼い主さんがおられますが、日常生活のなかで蚊を完全に防除することは
不可能です。
犬が蚊に刺されないようにするより、予防薬を飲ますことのほうが最善の方法なのです

当院では、1ヶ月に1度、体重にあわせた薬を飲ませています

予防期間は、蚊が出始めた5~蚊のいなくなった1ヵ月後の12までの8ヶ月間です

 予防薬は、フィラリア感染犬(特にミクロフィラリア陽性犬)に飲ませた場合、血液中の
ミクロフィラリアを殺すと同時に犬がショック状態に陥ったり、発熱したりすることがあります
ですから、予防薬を投与する前に必ず血液検査が必要になります

検査方法と重要性

どうしてフィラリア検査が必要なの?

フィラリアに感染しても、初期段階では症状がほとんど現れないことが多いです。しかし、感染が進行すると、咳や疲れやすさ、呼吸困難などの症状が見られるようになり、最悪の場合、心不全を引き起こす可能性があります。定期的なフィラリア検査を行うことで、早期に感染を発見し、適切な治療を開始することができます。これにより、あなたの大切なペットの命を守ることができます。

いつ検査を受けるべきですか?

フィラリアの検査は、毎年1回、春先に行うのが一般的です。この時期は、蚊が活動を始める前にペットの状態を確認するのに最適です。フィラリア予防薬を投与する前に検査を受けることで、既に感染しているかどうかを確認し、適切な治療を受けることができます。

検査の方法は?

フィラリア検査は非常に簡単です。少量の血液を採取し、フィラリアの抗原またはミクロフィラリア(寄生虫の幼虫)を検出します。検査結果は5~10分でわかります。

※キャナイン-フィラリアキット ささえあ製薬株式会社

 なお、子犬の場合は、夏を越した経験がなければ血液検査は必要あり
ませんが、体重の変動があるでしょうから体重測定のため、大変ですが月に一度(体重が安定する頃まで)は来院されてください

キーワード3

予防は毎年月から12月まで

 体重にあわせた予防薬を、1ヶ月に1度忘れずに投薬しましょう!!

最後に・・・悲しいことに、地域によって格差はありますが室外犬では約40%・室内犬では約7%、予防をせずに夏を3回越すとおよそ9割の確率で感染している可能性があるとも言われています

この恐ろしい病気から愛犬を守る方法は、予防しかありません

 

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