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犬猫の真菌症対策:効果的な環境消毒と家庭ケアの方法

      2024/09/29

真菌症(例:皮膚糸状菌症)に感染した犬や猫がいる環境の消毒は、再感染や他の動物・人への感染拡大を防ぐために非常に重要です。真菌の胞子は環境中に残りやすく、長期間生存することがあるため、効果的な消毒が必要です。以下は、環境消毒のポイントと手順です。

1. 効果的な消毒剤の選択

真菌の胞子は頑丈なため、適切な消毒剤を選ぶことが大切です。以下の消毒剤が真菌に効果的です。

  • 次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤):真菌胞子に対して非常に効果的です。0.1~0.5%に希釈したものを使用します。
  • 過酸化水素:強力な酸化作用を持ち、真菌胞子の殺菌に有効です。
  • アルコール(70%以上の濃度):アルコールも一定の効果があるものの、次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素ほどの持続的な効果は期待できません。

 次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)についてはこちらで詳しく説明しています

2. 環境消毒の手順

Ⅰ. ペットの生活スペースの清掃

ペットが普段過ごす場所、特に毛や皮膚が接触するエリアを重点的に掃除し、その後消毒を行います。

  • 床や家具:カーペット、ソファ、ペットのベッドなどは真菌胞子がたまりやすい場所です。カーペットや布製の家具は掃除機をかけた後、スチームクリーナーを使用するか、可能であれば洗濯や消毒を行います。
  • 硬い表面:フローリングやタイル、壁、ケージなどは、次亜塩素酸ナトリウムでしっかり拭き取り消毒します。溶液をスプレーするか、布に染み込ませて拭き取ります。

Ⅱ. 洗濯と消毒

ペットの寝具、毛布、タオルなどは、真菌胞子が付着しやすいので、熱湯での洗濯と漂白剤の使用が効果的です。

  • 高温洗濯:できれば60度以上の温度で洗濯することで、真菌胞子を殺菌できます。
  • 漂白剤の使用:次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)が使用可能な布製品には、漂白剤を使って洗濯を行い、真菌胞子を除去します。

Ⅲ. 頻繁な掃除

ペットが接触した場所の掃除は、少なくとも1日1回行うことが望ましいです。掃除機を使用する際は、真菌胞子が再び空気中に舞わないよう、フィルター付きの掃除機を使用するか、袋を毎回交換するようにします。

Ⅳ. 換気の確保

湿気の多い環境は真菌が繁殖しやすいため、室内の湿度管理を徹底しましょう。定期的な換気を行い、湿度が高くならないように調整します。特に梅雨や冬季には除湿機を使用することも効果的です。

3. 消毒の注意点

  • 適切な濃度で消毒剤を使用:次亜塩素酸ナトリウムを使う場合は、濃度が高すぎると人体やペットに有害です。0.1~0.5%の濃度で希釈して使用します。
  • 保護具の着用:消毒剤を扱う際には、手袋やマスクを着用して、皮膚や呼吸器を守ることが重要です。
  • ペットの健康に配慮:消毒剤はペットに直接使わないようにし、消毒後のエリアにペットが触れる前に完全に乾かすようにしましょう。乾燥が不十分だと、ペットの皮膚に刺激を与える可能性があります。

4. 特に気をつけるエリア

  • ペットの寝床やケージ:頻繁に真菌胞子が付着する場所なので、日常的に洗浄と消毒を行います。
  • ペットのトイレエリア:湿度が高くなる場所で真菌が繁殖しやすいので、こまめに清掃と消毒を行います。
  • おもちゃや食器:おもちゃや食器も消毒しますが、食器にはアルコールや次亜塩素酸ナトリウムを使用せず、熱湯消毒が安全です。

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