動物の病院 くすめ

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蚊が運ぶフィラリアのひみつ

      2025/03/26

犬を飼う上で欠かせないフィラリア予防

フィラリア症の予防は、犬を飼ううえで基本となる予防の一つです。毎年きちんと予防している飼い主さんも多いですが、中にはフィラリアについて不安や疑問を抱えている飼い主さんもいるかもしれません。

そこで、今回は飼い主さんからの相談内容を元にフィラリア予防について解説し、愛犬の健康を守るために必要な知識をお伝えしたいと思います。

📖目次

1. フィラリア症は予防できる!

まず、「フィラリア症」とは何かをご説明します。蚊が、フィラリアが寄生した犬からフィラリアの幼虫を運んできます。この感染した犬の血を吸った蚊が別の犬の血を吸うことでフィラリアに感染します。寄生虫であるフィラリアが犬の体内に侵入し、心臓や肺動脈寄生して悪影響を及ぼす病気です。特に重症化すると命に関わるため、毎年の予防が欠かせません。詳しくは【こちらの記事】でご確認ください。

🐱 猫のフィラリア症について

猫の場合、犬と違ってフィラリアが成虫にならず、肺や血管に小さなフィラリアが留まることが多いですが、それでも肺や血管に深刻なダメージを与えることがあります。「猫のフィラリア症」は犬よりも診断が難しく、症状が突然現れることもあります。最悪の場合、突然死につながることもあるため、予防が唯一の対策です。

2. フィラリア予防はいつから始めるの?

福岡県ではフィラリアは蚊を媒介して感染するため、蚊の活動が始まる4月下旬~5月から予防を始め、12月まで毎月薬を与えることが一般的です。

🐱 猫の予防について

猫も犬と同様に、蚊の活動が始まる春から予防を開始するのが望ましいです。特に室内飼いの猫でも、蚊が家に入り込むことで感染する可能性があるため、室内飼いだから大丈夫とは言えません

国土交通省 気象庁 >各種データ・資料 > 過去の気象データ検索 > 平均値(年・月ごとの値

最近では、1年を通して予防する「通年予防」が推奨されています。温暖化により蚊の活動期間が長くなっているため、通年予防を行うことで感染リスクをより確実に防ぐことができます。また、定期的に予防薬を飲ませる習慣ができるため、忘れにくくなるという利点もあります。

3. 予防薬を飲ませる前に、必ずフィラリア検査を

フィラリア予防薬は、日本では「要指示医薬品」というものに分類されており、獣医師の処方が必要です。もし、フィラリアに感染した状態でお薬を飲ませた場合、血液中のミクロフィラリアを殺すと同時に犬がショック状態に陥ったり、発熱したりすることがあります。そのため、予防を始める前にフィラリアに感染していないことを確認する検査が必要です。当院では「キャナイン-フィラリアキット(ささえあ製薬株式会社)」で簡単に検査ができ、結果は5〜10分程度で出ます。

🐱 猫は検査が難しい?

猫の場合、フィラリア検査は必須ではありません。なぜなら、猫は体内のフィラリア数が少なく、検査で陽性と判定されにくいためです。そのため、猫は検査なしで予防薬を使用することが多いですが、事前に獣医師と相談しましょう。

4. 愛犬・愛猫に合った予防薬を選ぼう

フィラリア予防薬にはいくつかの種類がありますので、愛犬の性格や体質に合ったものを選んであげましょう。

🐶 犬用の予防薬

  • 錠剤タイプ: 好き嫌いがあるワンちゃんやアレルギーを持つワンちゃんにおすすめです。ご飯やおやつに混ぜてあげることで、飲ませやすくなります。

当院では、「ハートメクチン錠」を取り扱っています。

  • チュアブルタイプ: おやつのような薬で、犬が好むミートフレーバーなので、簡単に与えることができます。ただし、食物アレルギーのあるワンちゃんは注意が必要なので、アレルギー体質がある場合は先生に伝えてください。

当院では、フィラリアに加えてノミ・マダニ・回虫なども一緒に予防できるオールインワンタイプの「シンパリカトリオ」と、フィラリア予防専用の「イベルメックPI」の2種類をご用意しています。

また、当院では取り扱っていませんが、以下の選択肢もあります。

  • スポットオンタイプ: 薬を飲ませるのが難しいワンちゃんにおすすめです。毛を分けて皮膚に塗布し、同時にノミの予防もできます。
  • 注射タイプ: 年に1回の注射で予防ができ、通年で確実に予防したい方におすすめです。

どの薬もフィラリア予防に対する効果は同じです。フィラリア症の予防薬は体内に入ったフィラリアの幼虫を駆除するものです。

🐱 猫用の予防薬

猫には「スポットオンタイプ」の予防薬が主流です。飲み薬よりも、首の後ろに塗るタイプが一般的です。

当院では、**「レボリューションプラス」「ネクスガードキャットコンボ」を取り扱っています。これらの薬はフィラリアだけでなく、ノミ・ダニ・内部寄生虫の予防も同時に行えます。

5. 確実な予防を行うために

月に一度、体重に合わせた適切な量の予防薬を飲ませることが大切です。もし薬を飲ませた後に嘔吐したり、体調に異常が出たりした場合は、すぐに相談してください。また「妊娠してるけど予防薬をあげてもいい?」「授乳中だけど予防薬をあげてもいいの?」など不安な点がある場合も相談してください。

6. よくある問い合わせ

Q1.フィラリアのお薬だけもらえますか?

フィラリアの薬を処方する前には、フィラリア感染の有無を確認するための検査が必要です。もし感染している場合、予防薬を投与すると逆に健康に害を及ぼす可能性があるため、まず検査を行った上で処方を行います。他の病院で検査を受けた結果があれば、その結果に基づいてお薬を処方します。

Q2.お薬を飲んだ後に、すぐ吐いてしまいました。

薬を飲んだ直後に吐いてしまった場合、でてきたものを再度飲ませていただければ大丈夫です。ただし、ばらばらに砕けた状態で吐いた場合は薬が十分に吸収されていない可能性があります。また数時間経ってから薬を吐いてしまった場合も。その場合、薬を再度投与することを検討する必要がありますが、自己判断で再度投与せず、必ず獣医師に相談してください。吐いてしまった原因や薬の種類によって対処法が異なるためです。

Q3.先月お薬を飲ませ忘れましたが、大丈夫ですか?

すぐに飲ませるようにお伝えしてます。ただし、2ヶ月もたっている場合は感染の可能性もあるので再、度検査をお願いしています。

Q4.子犬だけど検査は必要ですか?

蚊が出ていない時期に生まれた子犬の場合、はじめて予防する年は検査の必要はありません。ただし、翌年から検査が必要となってきます。

フィラリアは成虫になって幼虫を生むまでにおよそ6ヶ月を要します。そのため、蚊のいない冬季に生まれた犬であれば、初めての春の時点では、体内にフィラリアの成虫も大量の幼虫もいないと判断されるため。

その他ご質問があれば、ご相談ください!

Q5.猫もフィラリアに感染するの?

はい、感染します。猫は犬ほど多くのフィラリアが体内で成虫になりませんが、少数でも肺や血管に悪影響を及ぼします。

Q6.室内飼いの犬や猫もフィラリア予防が必要?

はい、室内飼いでもフィラリア予防は必要です。

🐶 室内飼いの犬の場合

犬が散歩に行く際に蚊に刺されるリスクがあります。また、家の窓や玄関の開閉時に蚊が入り込むこともあるため、完全にフィラリア感染を防ぐことは難しいです。

🐱 室内飼いの猫の場合

猫は外に出ないから大丈夫、と思われがちですが、家の中にも蚊は侵入します。特にマンションの高層階に住んでいる場合でも、エレベーターや玄関から蚊が入る可能性があります。猫の場合、フィラリアが少数でも肺や血管に深刻な影響を与え、突然死の原因になることもあるため、予防が特に重要です。

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