動物の病院 くすめ

診療対象動物:いぬ・ねこ・うさぎ・ハムスター・フェレット・鳥

猫ひっかき病とは?症状・予防策と知っておきたいQ&A

      2024/09/27

猫ひっかき病について

猫ひっかき病とは?

猫ひっかき病は、細菌 バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)によって引き起こされる人獣共通感染症です。主に猫がこの細菌を媒介し、猫に引っかかれたり、噛まれたりすることで人間に感染します。猫自体は通常、無症状でこの細菌を保有していますが、人間に感染すると様々な症状を引き起こすことがあります。

猫ひっかき病はヒトにおける病名です。猫においては通常臨床症状を示しません。

猫からの感染経路

  • ひっかきや噛み傷:猫に引っかかれた傷口や噛み傷を通じて細菌が体内に侵入します。
  • 唾液の接触:猫が怪我や皮膚に唾液を付けた場合、感染する可能性があります。
  • ノミ:バルトネラ菌はノミを媒介にして猫同士で感染します。したがって、猫がノミに寄生されていると、猫ひっかき病に感染しやすくなります。完全に室内で飼育している猫だとしても、同居の動物や人が知らずにダニを家の中に持ち込んでしまうということがあれば、感染してしまう可能性は否定できません。

発症時期

  • 発症は7月から12月に多く、ノミの発生時期と深い関わりがあるようです。

主な症状

猫ひっかき病の症状は、感染から数日から数週間後に現れます。以下のような症状が見られることがあります。

  • 初期症状
    • ひっかかれた箇所や噛まれた箇所の赤み、腫れ、痛み
    • 2〜3日後に膿がたまることもあります。
  • 全身症状(感染後1〜2週間以内に発症):
    • 発熱
    • 倦怠感
    • 頭痛
    • 筋肉痛や関節痛
    • リンパ節の腫れ(特に脇の下や首、股関節付近)

まれに重篤なケースでは、免疫力が低下している人や子供、高齢者などが感染すると、肝臓や脾臓の腫れ、心内膜炎、神経系の症状などが引き起こされることがあります。

 

予防方法

猫ひっかき病の感染を防ぐためには、日常生活で以下の予防策を徹底することが重要です。

  1. 猫の爪の管理
    定期的に猫の爪を切ることで、引っかき傷を防止します。特に子猫や遊び好きな猫は意図せずに人を引っかくことが多いため、怪我を防ぐため定期的に猫の爪切りをしましょう

  2. ノミ予防
    バルトネラ菌は猫同士のノミを介して感染するため、猫のノミ予防が重要です。定期的なノミ駆除薬の使用しましょう。

  3. 怪我をした場合の処置
    万が一猫に引っかかれたり、噛まれたりした場合は、すぐに流水で傷を洗い流し、消毒液で処置を行いましょう。傷が深い場合や、痛みや腫れがひどくなる場合は早めに医療機関で診察を受けてください。
  4. 猫の健康診断
    定期的に獣医に相談し、猫の健康状態を確認しましょう。特に、外に出る猫や野良猫に接触する機会がある猫の場合、感染リスクが高いため、より注意が必要です。

  5. 手洗いの徹底
    猫に触れた後や、猫のトイレ掃除をした後は、必ず手を石鹸で洗いましょう。感染リスクを減らすための基本的な衛生対策です

Q&A:猫ひっかき病に関するよくある質問

Q1: 猫ひっかき病は猫自身に影響を与えますか?

A: 多くの場合、猫は無症状でバルトネラ菌を保有しています。猫自体は病気にかからないことがほとんどですが、まれに体力が低下している猫に感染が進行することがあります。そのため、定期的な健康チェックが重要です。

Q2: どのような人が猫ひっかき病にかかりやすいですか?

A: 免疫力が低下している方(HIV感染者、がん治療を受けている方、ステロイド治療中の方など)は特に感染リスクが高く、重篤な症状を引き起こすことがあります。また、子供や高齢者も感染しやすい傾向があります。

Q3: 猫ひっかき病の治療法はありますか?

A: 軽度の場合、多くの感染者は自然治癒しますが、抗生物質が処方されることもあります。症状が重い場合や長引く場合は、医師の診察を受けて適切な治療を受けることが推奨されます。抗生物質の選択は感染の重症度によって異なります。

Q4: 猫ひっかき病は人から人へ感染しますか?

A: 猫ひっかき病は、基本的に人から人へは感染しません。猫を介して感染するため、主に猫との接触がリスクとなります。

Q5: 飼い猫から感染する確率はどれくらいですか?

A: 飼い猫が完全に室内で飼育されており、定期的に健康管理やノミ駆除が行われている場合、猫ひっかき病に感染するリスクは非常に低いです。野外に出る猫やノミが発生している環境では、感染のリスクが高くなります。

 - ブログ