動物の病院 くすめ

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マラセチア

      2024/10/02

マラセチアMalassezia)は、犬の皮膚や耳の中に自然に存在する酵母菌(真菌)の一種です。通常は問題を引き起こしませんが、環境や体調の変化によって異常に増殖すると、マラセチア性皮膚炎マラセチア外耳炎を引き起こすことがあります。以下にマラセチアについて詳しく説明します。

マラセチアの特徴

  • 常在菌: 健康な犬の皮膚や耳の中にも少量存在しており、通常は問題を起こしません。
  • 湿気を好む: マラセチアは湿った環境で繁殖しやすく、耳の中や皮膚のしわなどで増殖することが多いです。

マラセチアによる外耳炎の原因

  • 湿気: 耳の中が湿っていると、マラセチアが異常増殖しやすくなります。例えば、犬が泳いだ後や耳が垂れている犬種(例:コッカースパニエル、バセットハウンド)は、耳が蒸れやすく、マラセチアの増殖を助長します。
  • アレルギー: 食物アレルギーや環境アレルギーが原因で皮膚や耳が炎症を起こし、マラセチアが増殖することがあります。
  • ホルモン異常: 甲状腺機能低下症などのホルモンバランスの異常がある場合、免疫力が低下し、マラセチアが繁殖しやすくなります。

マラセチア外耳炎の症状

  • 強い痒み: 犬が耳を頻繁に掻いたり、頭を振るなどの動作が見られます。
  • 耳垢の増加: 特徴的な茶色や黄色の耳垢が多量に見られます。
  • 耳からの臭い: 酵母菌特有の強い臭いがすることがあり、不快な臭気が特徴です。
  • 耳の赤みと炎症: 耳の内側が赤く腫れ、炎症が進行することがあります。

マラセチア外耳炎の治療方法

  1. 耳の洗浄 獣医師が専用の洗浄剤を使って、耳の中をきれいにします。自宅での耳洗浄を指示されることもありますが、強くこすりすぎないよう注意が必要です。

  2. 抗真菌薬の投与

    • 点耳薬: マラセチアに対する抗真菌薬が処方され、耳に直接点滴することで真菌の繁殖を抑えます。
    • 外用薬や内服薬: 状況によっては外用薬や内服薬が併用されることがあります。
  3. アレルギーや基礎疾患の治療 根本的な原因としてアレルギーやホルモン異常がある場合、それらの治療も並行して行います。アレルギーの場合は食事管理や環境の調整が必要です。

マラセチア外耳炎の予防

  • 耳の定期的なチェックと清潔: 特に湿りやすい犬種は定期的な耳の掃除が重要です。
  • 耳を乾燥させる: 犬が泳いだ後やシャンプー後は耳をしっかり乾かすことが大切です。
  • アレルギー対策: アレルギーの原因を特定し、食事や環境を調整することで、マラセチアの再発を防ぐことができます。

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